心電図の基礎(心拍数)

心電図基礎講座
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こんにちは。
前回はP波やQRS間隔など基本的な事項を勉強しました。
今回も心電図を読むときに、必ず必要になる「心拍数をどうやって計測するのか?」について勉強します。

今回のテーマ

上のスライドの空欄を埋めることができるでしょうか?
講義の最後には埋めれるようになってくださいね。

まず確認すべきこと

はじめに確認してほしいのは、心電図の計測されている速度です。普通は固定されているので気にならないかもしれませんが、上の心電図の下のほうに25.0mm/secという数字があると思います。こちらが心電図の計測速度になります。この25.0mm/secとは、一秒間が25㎜(上の心電図の大きなマス5つ分)ということです。例えば、前に使った人が、「凄い頻脈だから、心電図を遅くして計測してみよう」と思って、50㎜/secに変更していた時は、25mm/secに戻さないといけないので確認する癖をつけておいてください。(余談ですが、頻脈の時に、50mm/secにしてP波などの波形を確認するのは、ちょっとしたテクニックなので覚えておいて良いと思います。)

では、本題に入っていきましょう。心拍数を心電図で計測する場合には、RR間隔(R波から次のR波までの距離)を計測します。例えば、P波の間隔じゃダメなの?という疑問があると思います。いろいろ調べてみたのですが、明確な答えは見つかりませんでした。ですが、前の講義を覚えている方は、「R波は心室が収縮が始まるときの波形」だなって気が付くと思います。なので、心拍数は「心臓が収縮して血液を送り出し始めてから、次の心臓が収縮するまで」と考えて、RR間隔と覚えても良いと思います。

心拍数を計算するためには、1500/(RR間隔の小さなマスの数)を計算します。前項で大きなマス5こで1秒と学んだと思います。すると、大きなマス1つは1秒/5=0.2秒小さなマスは0.2秒/5=0.04秒になります。
ちなみに、心拍数の単位はbpm(ビーピーエム)と言います。bpmはbeat per minute (一秒あたりの拍動数)の略なので覚えておくとカッコいいですね。

では、実際に計測してみましょう。上の心電図から、RR間隔は小さなマス28個であることが数えられると思います。そこで、心拍数=1500/28=54bpmとなります。

練習問題

それでは練習問題です。上の心電図を見て「あ~タキってるなぁ」と思えた方は素晴らしい。(タキるっていうのは、臨床現場でよく使うスラング(方言)で、心電図をパッと見て「タキってる」言うと、それっぽく周りから見える)じゃ、実際にRR間隔を計測して心拍数を求めてください。

こちらが答えです。上の心電図のR波は一番とんがっている波ですよね。上の心電図ではRR間隔は小さなマス10個なので、1500/10=150bpmになります。だいぶ、脈が速いですね。

簡単におおよその心拍数を測る方法

さっきの計算式だと、ほぼ正確な心拍数が計測できます。しかし、心電図をパッと見て、せめて頻脈か、徐脈か判断出来たら良いですよね。臨床をしていると、多くの場合に脈拍が110bpmでも、120bpmでも大きな違いはありません。しかし、脈拍が正常範囲なのか、頻脈なのか、頻脈だとしても高度な頻脈なのか、という大きな分類はすぐ判断する必要があります。
そんなときは、「えーっと、1500÷、、、」とやっている暇はないので、ここで教える方法を使ってみてください。

まず、思い出してほしいのは、心電図の小さなマス(1mm)は0.04秒を示します。大きなマス(5㎜)は0.2秒を示します。今回はその大きなマスを目安に使って、簡単に脈拍数を測ります。

まず、基本通りRR間隔を計測しましょう。その際、「RR間隔を大きなマス○○個分」っと概算で数えてください。例えば、上の心電図のようにRR間隔が大きなマス1個分だった場合には、1500/5=300bpmになります。

では、RR間隔が大きなマス2個分の時はどうでしょう?2個分だと、1500/10=150bpmになります。

同様に繰り返していくと、RR間隔が大きなマス3個分の時は、心拍数100bpm。4個の時は75bpm。5個の時は60bpm。6個の時は50bpmになります。この、RR間隔の大きなマスと心拍数の関係は暗記してください。心電図をみてパッと判断するには必要な知識です。

こちらは、心拍数の正常値になります。覚えてほしいのは、「心拍数が100bpmより早いと頻脈」ということです。つまり、RR間隔が大きなマス3個より狭い場合(練習問題とか)、頻脈になります。反対に、心拍数が50bpmより遅い場合、つまり、RR間隔が大きなマス5個より広い場合、徐脈になります。この大きなマス3個、5個はちゃんと覚えておくようにしてください。万が一忘れた時は、1500÷、、、から計算して思い出してくださいね。参考に、小児や新生児の心拍数の正常値も載せておきます。年齢が上がっていくにつれて、脈が遅くなってきます。

ここで、復習として、初めに使った心電図に戻ってみましょう。上の心電図のRR間隔はだいたい大きなマス5個分+αです。そうすると、心拍数はだいたい60bpmより少し遅いくらいです。そうすると、「あ、ちょっと徐脈だな。そんなに気にならんけど(患者が老人の場合)」とパッと答えると、「わかっているわ~」という空気感が出ます。

余談ですが、「頻脈」のことを英語で「tachycardia(タキカルディア)」と言います。なので、「タキってるわ~」っていうんですね。でも、反対に「徐脈」のことを英語で「bradycardia(ブラディカルディア)」って言いますが、「ブラってるな~」とかは言いません。何ででしょうね?
現場で、「いや~ブラってるね~」とか心電図みながら言ったりすると、「この人、大丈夫かな?」って周りを不安にさせるので気を付けましょう。
でも、僕はこういう人種の人たちが意外と好きなので、「あ、やべ。ブラってるって使ってるわ。」って当てはまっちゃった人は、ぜひ、福井大学に来てください。

いや、弁明のために言っておきますが、周りには普通の人もたくさんいます。ただ、大学?なので変わった人もいます。でも、そんな変わった人(僕を含め)にも優しいのが福井です(県立病院やほかの県内の民間or市民病院でも優しくしていただいております)。ぜひ、遊びに来てください。

まとめ

ということで、今回の講義はいかがだったでしょうか?
次回の講義も楽しみにしておいてください。

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