心電図の基礎(波形と間隔)②

心電図基礎講座
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前回は、心電図と心エコーを対比させながら、「心電図の波形と、その時、心臓で何がおこっているのか?」を勉強してきました。
今回は、実際に心電図を使いながら、勉強していきましょう。

前回から引き続き、このスライドの空欄を埋められるようになるのが今回のシリーズの目標なので、頭のすみにでも置いておいてください。

心電図の波形と間隔は何を表すの?

では、さっそく、心電図の波形に入っていきましょう。上記のP波、QRS波、T波の説明文だけ読むと、うーん分かりにくいと思ってしまう人もいると思います。そんな時は前回の講義をみてもらい、「そういえば、P波の時は心房が収縮していたから、P波は心房の収縮している電気信号だったな」と思い出してください。

P波とは?

前回勉強した通り、P波は心房の収縮するときの電気活動をみています。洞房結節(ペースメーカー)の出す電気信号ではない点は覚えておいたほうが良いでしょう。P波を見ると、洞房結節がちゃんと電気信号を出しているのか(洞性頻脈とか洞性徐脈とかですよね)。それ以外には、心房から異常な電気活動がリズムばらばらに発生していないか(心房細動)なども分かります。あとは、心房に負荷がかかっていないかなど、心房の筋肉の状態も分かります。

QRS波とは?

次にQRS波とは何を見ているのでしょう?前回の講義より、QRS波は房室結節からHIS束→左脚、右脚と電気信号が流れている過程を示しています。つまり、心室の内の電気の伝わり方に問題がある場合には、QRS波の異常が起こると覚えてください(例えば、左脚ブロックや右脚ブロック)。ただ、ほかの波形と異なり、QRS波は様々な形が存在します。上記で示すように、Q波、R波、S波がすべて独立して、いつも見えているわけではないです。

T波とは?

前回の講義で、T波は心室の収縮をみていると説明しました(図の赤い部分)。このため、心室の筋肉の状態に異常がみられた場合に、T波の異常が認められます(例えば、心筋梗塞など)。

PR間隔とは?

今までP波、QRS波、T波とみてきましたが、次は間隔について勉強しましょう。まず、代表的な間隔にPR間隔があります。PR間隔は「P波の始まりからQ波の始まりまで」です。

では、PR間隔は何を示しているのでしょうか?そんな時は前回の講義を診てもらったり、上の図を思い浮かべるようにしてください。PR間隔は心房の収縮→HIS束以下に伝わるまでの間隔です。つまり、PR間隔は房室結節の電気信号の伝わり方を見ています。たとえば、心房からの電気信号が房室結節で伝わりにくくなってしまい、脈が遅くなってしまった(一度房室ブロックなど)の時にはPR間隔の異常が起こります。
ちなみに、房室結節は心房の電気信号を調整しながら、HIS束に伝える役目をしています。もし早すぎる電気信号だった場合に、そのまま電気信号を伝えると凄い頻脈になっちゃうので調整しているのですね。また、洞房結節→心房と伝わってくる電気信号が入らない場合には、自分で電気信号を出す役割もします(例えば、完全房室ブロック)。その場合は徐脈になります。

QRS間隔とは?

次に重要な間隔は、QRS間隔です。QRS間隔はQ波の始まりから、S波の終わりまでの間隔のことを言います。

前回の講義でQRS波は(心室中隔を通っている)HIS束から左脚、右脚へ電気の流れる過程をみてると勉強しました。このQRS間隔は、このHIS束から左脚、右脚までの過程に異常がないか見ています。上の図を見ながら考えてほしいのですが、心室中隔に異常がみられた場合に、例えば左脚の通る位置だったりすると、電気の伝わり方が障害を受けるため、QRS間隔の異常が起こったりします(左脚ブロック)。

QT間隔とは?

最後に勉強するのは、QT間隔です。QT間隔はQ波の始まりからT波の終わりまでのことを言います。

QT間隔を分解すると、QRS間隔T波の間隔ですよね。QRS間隔は心室中隔を伝わる電気信号をみていて、T波(の間隔)は心室の収縮の信号をみていることを思い出してください。このため、QT間隔というと、心室の電気信号の伝わる過程を示していると覚えてください。例えば薬の影響で心筋の状態に異常が起こると、心筋内の電気信号が伝わりにくくなりQT間隔が延長したりします(薬剤性QT延長症候群)

心電図の波形と間隔 まとめ

今回の講義では、波形と間隔についてやってきました。
他にもU波とかあったりするのですが、初めて心電図を学ぶときは、これだけ覚えれば良いかなと思います。
それでは、次の講義を楽しみしてにしておいてください。

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